鼻くそポイ捨て機の映画日記

映画見ておもったこと。ネタバレします。

みた

最初で最後のキスみた。

めっちゃいい映画やねんけど普通にもう二度と見れん映画やとも思う、悲しすぎて。
今は私がまだ20代前半で、思春期の痛みとかもまだそこまで大幅に薄れていないからそう思うんだろうか。わからない。
また見れるんだろうか、この映画。多分30代、40代になって、結末を知った上で見たらまた違う感想が出てくるんやろうな。


前半のキラキラ、ポップ、親友さえいれば無敵!感がほんと〜に良かった!画面がかわいいし音楽はノリノリで楽しいし笑顔あふれる。だからこそ後半の痛みが半端ない。痛い、痛すぎる映画。

ロレンツォのキャラが生き生きとしてて素敵。
ゲイだっていうことをあの偏見まみれの中で隠しもせずに生きていくことがどれだけ苦しいことか私には想像してもしきれん。
彼は完全に強い人間なんじゃなくて、強く見せてる部分も大部分を占めてるんだなっていうところが年相応で良かった。
例えば自分がみんなに愛されてる妄想をしたりだとか、そういう部分で彼の弱いところを見せてくれていたけど一番はやっぱり車内でなんで自分を養子にしたのかって聞いた部分だと思う。
両親がいつ亡くなったのかとかなんで施設に逆戻りしたのかとか劇中では分からないままだったけれど今までの人生の中で脆さを隠さざるを得なかったっていうことと、そんなに愛されてなかったんだろうなってことはわかる。その上でロレンツォが人一倍愛を求めていたことも。
車内での質問は試し行動だったんだろうな。この人は本当に愛してくれる?捨てないでいてくれる?ちゃんと子どもとして見てくれる?
そのシーンがあったからこそママパパのやっぱり小さい子を養子として連れて来る方が良かったんかなあみたいな発言はロレンツォがそこにいないとはいえグサッときた。

偏見の中で生きていくのは辛いだろうに脆い部分だけを隠してしまうロレンツォの選択にものすごく胸が痛くなった。
それと同時に、ブルーに出会えて良かったなと思った。ブルーといられたからあんなに明るく振る舞えたっていうのは確実にあったと思う。

ブルーは最初、えっほんま?まじで?と思ってたけど本当に股がゆるいわけじゃなくて、愛しい愛しい彼に愛されたかっただけなんだと知って彼氏へのヘイトがクソクソクソクソ高まった。
完全にブルーの気持ちに漬け込んでて大切になんて一切してないし、それでもブルーは彼からの愛が欲しくて一生懸命で…健気すぎて見てて痛々しくなるような恋だと思った。
でもまず母親がなあ…完全にブルーを所有物と思ってる時点でア〜ってなった。思春期ってどうしても親の影響が強いから。
母親に所有物やと思われてるブルーが彼氏に自分の所有物扱いされても抵抗できないのはある程度致し方ないと思った。でも最後ほんまによう頑張ったなあ。
母親に抵抗して、所有物扱いされるのがおかしいと気づけたからできた抵抗だったと思う。

アントニオも偏見の中で生きてきたのだと思う。真偽の程はわからないものの知的障がい者だとされてて、留年してる学校ののけもの。
三人組の中でも彼が一番何をするにも臆してて、無敵モードに入りきれてない、人の目をかなり気にするタイプなのかなと感じた。
この悲劇って、そもそもロレンツォのことを元から偏見の目で見てたから起こったことなんじゃないかとさえ思う。彼のお兄さんの話って、アントニオの心の底の声だと思って私は受け止めていたから、ロレンツォは苦手みたいな本音と、でも彼は友だちっていう建前が常にアントニオの中で争ってたんだと思った。
でもあのキスの理由はなに?どうなんやろ。
思春期ゆえの視野の狭さ、経験の浅さとそれに反しての思い込みの深さ。さらにプラスして偏見の怖さを突きつけられました。